小児の外傷歯について

初めまして。 6月より院長となりました、中川 浩伸です。新米の医院長で、なにかとご迷惑をかけることもありますが、よろしくお願いいたします。
僕は、大学卒業後、約8年間、大学院時代を含めまして口腔外科にて診療を行っておりました。
今回は小児の外傷歯について、少しお話をしていきます。

小児と書いていますが、成人の外傷歯でも大いに当てはまる事が多いので、ご参考にしてもらえればと思います。

歯の外傷は、1~2才の乳幼児と、7~8才の学童児に多くみられる傾向があります。前者では原因は転倒が最も多く、次いで衝突、転落、打撲と続き、日常生活の中で多くが発生しております。

永久歯の外傷の原因もほぼ同じですが、その背景には交通事故や暴行、スポーツなどがあり、日常的な生活の中で発生するものはそれほど多くありません。特にスポーツでは転倒や衝突,接触などの機会が常にあり、歯の外傷のリスクになっています。

次に、口腔外傷の処置の基本として、

1; 持続的な感染の防止
2; 創部の安静
3; 歯髄の保存、整復固定、咬合調整
4; 小児および保護者の精神的なフォロー

が、上げられます。

最初に、詳細を知るために、問診・視診・触診・打診・レントゲン検査等を行います。歯牙や周囲軟組織に限局しない状態で、明らかに個人医院での対処が難しい場合には、総合病院歯科・口腔外科に紹介する場合もあります。
得られた情報から、現在の状態を総合的に判断し、対応していきます。

まず、1についてですが、まずは創部の消毒が肝心です。汚れは可及的に洗浄するなどして落とします。口の周りの砂や汚れは、出血等に注意しながら、出来るだけきれいにしてください。

もし、歯牙が脱落してしまっているときには、歯根の周りについている歯根膜の保護のためにも、冷たいミルク(ロングライフミルクや低脂肪乳は避けてください)や、生理食塩水、または学校等で用意している歯の保存液などに入れてお持ち下さい。
ただ、汚れがあまりにもついてしまった場合には、歯牙を再植することが感染源になることもありますので、脱落した状況や現状については詳しく教えて下さい。
また、感染予防のために、抗生剤の内服も必要です。

次に2についてですが、まず受傷した周囲組織の洗浄・消毒を行います。砂やごみがついた状態だと、感染を起こしてしまい、たとえばせっかく整復・固定した歯牙が脱落する原因にもなります。
また、周囲組織に損傷がある場合には、挫滅している場所は麻酔をして組織を除去します。また、必要に応じて、縫合処置を行い、固定および止血を行います。上にも書きましたが、抗生剤の投与は必須です。

3 および4 については、次回に報告させていただきます。