こんにちは。パーク歯科クリニック 院長の中川です。
実家のある佐渡で、家族で大野亀に行ってきました。一帯はトビシマカンゾウの生息地で、少し時期が早かったので見られませんでしたが、今が見ごろを迎えています。頂上までは、ちょっとしたハイキングコースになっていて、上からの眺めは最高です!改めて、佐渡の海の美しさを感じました。
引きつづき、ミネラル平衡における唾液の役割についてお話をしてまいります。
3 エナメル質の成分
生体内の石灰化組織は、リン酸カルシウムのミネラル相と有機質マトリックスで構成されています。後者は異なる役割を有しており、ミネラル結晶を相互に保持するセメント質(接着剤)の形成やミネラル結晶の形成およびその再生などの調整が含まれます。
エナメル質では、組織形成細胞(アメロブラスト)が有機質マトリックスを分泌し、結晶がその上に配置されます。これは、歯が口腔に萌出する以前に起こるプロセスです。歯が一度萌出すると、アメロブラスト(歯の外側に存在する)は摩耗消失し、エナメル質の運命が細胞由来のメカニズムで決定されることあ決してありません。エナメル質の状態は口腔液とエナメル質との相互反応で決定付けられます。
一方、象牙質では歯髄側にある象牙芽細胞が活性を維持し、歯の萌出後も、歯えの化学的あるいは機械的な損傷の結果として、第二象牙質あるいは第三象牙質を沈着させます。この反応はう蝕や機械的な外傷への身体の自然防御機序とみなすことができます。エナメル質に関しては、生体は防御物質として唾液に依存しています。
この点に関して、唾液は特異的な役割を持つ多くの成分を含んでいます。前述した有機質成分(タンパク質と脂質)は、エナメル質のペリクルを形成します。このペリクルは、プラーク中に産出された酸の拡散バリアとなり、一般にミネラルの溶解と沈着過程を調節します。この重要な役割は、無機質、特にカルシウムとリン酸イオンにも同様に存在します。唾液の成分は、ミネラルへの飽和度が異なってはいますが、ほかの体液の成分と同様の特性を有しています。
エナメル質のミネラル相は、不純なハイドロキシアパタイト(HAP)で構成されています。このミネラルは、自然界、特に生体内にあるリン酸カルシウムのなかでもっとも不溶性です。HAPは結晶格子中に別のイオンを非常に取り込みやすいです。それは陽性(ナトリウム、カリウム、亜鉛、ストロンチウム)イオンでも陰性(フッ化物、炭酸)イオンのいずれもありえます。組織におけるこのような不純物の濃度は、組織形成中に組織的に存在する元素に影響されます。これらのミネラルの変化は、溶解性に関して促進および抑制いずれの効果も発揮します。