唾液とプラークpHコントロール ⑤

こんにちは。パーク歯科クリニック 院長の中川です。

昨年庭に植えたアジサイが、立派に咲きました!昨年の猛暑でかなり弱っていたので、枯れてしまうか心配でしたが、無事に育ってくれて一安心です。

引きつづき、唾液とプラークpHコントロールについてお話をしてまいります。

⑦ プラークの緩衝能

プラークは本来内部に一定の緩衝能をもち、これは主に細菌タンパク質とプラーク内の高分子物質に起因します。この緩衝物質は、リン酸塩と重炭酸塩からなる流動性の緩衝物質と平衡状態にあり、唾液中のリン酸塩および重炭酸塩と交換しうる。リン酸カルシウムの結晶は幼若プラークにも存在すると考えられており、酸性環境で溶解することで緩衝能著しく高めます。これはまたカルシウムイオンとリン酸イオンの濃度を上昇させ、その結果歯質の脱灰を防ぐことができます。プラーク中のリン酸カルシウムとう蝕活動との間には、負の相関関係があります。

⑧ プラークの古さと付着部位

プラークpHを考えるうえで、プラークの古さおよび口腔内における付着部位は重要です。それは、これがプラーク中の化学組成や細菌の構成、プラークの厚さ、そして唾液のプラークへのアクセスに影響を与えるからです。プラークの古さは通常、専門家による歯口清掃や入念な歯磨きなどによってプラークを除去してからの経過期間として定義されます。しかし、この定義には限界があります。なぜなら、プラークは舌、口唇、頬の動きや、食物によって絶えず乱され除去されるからです。それゆえ、プラークの厚さは測定が難しいものの、プラークの古さの基準としてより合理的といえます。プラークの厚さは細菌の構成やプラーク中の物質拡散速度に影響を与えます。厚いプラークは、より嫌気的であり、その結果、内側の層はより高度な嫌気条件を好む細菌種の増殖に適した環境となってきます。栄養素がプラークへ浸透する速度と代謝産物がプラークから拡散する速度は、プラークの厚さの2乗に反比例し、さらにその分子の大きさと荷電によって変わります。

プラーク中のカルシウムとリン酸の含有量は、時間とともに増加し、10日経過したプラークが含む無機質は歯石中に含まれる無機質の約25%に相当します。プラークpHについての多くの研究では、24時間あるいは48時間にわたり口腔清掃していない被験者のプラークが使用されています。

歯磨きは食前に行ったほうがより効果的であるといわれたことがあります。この理由は、歯磨き後に残ったプラークは厚さが薄いため、pHを大きく低下させることなく、さらにフッ化物添加歯磨剤を使用することでプラーク中の細菌の代謝が阻害されると考えられたらです。