観血処置後の管理について 2

こんにちは、院長の中川です。
猛暑がやや落ち着いたところでの台風到来と、気の休まない日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

前回に続いて、献血処置後の管理についお話をさせていただきます。
今回は、感染予防と止血管理についてお話します。

まず感染予防ですが、抗菌薬の使用についてお話しをします。
口腔内の手術術後感染初期の原因菌として、口腔連レンサ球菌やペプトストレプトコッカスなどのグラム陽性菌が考えられます。これらの菌種への効果が高いペニシリン系薬アモキシシリン 750mg/日が第一選択となります。
ペニシリンアレルギーを有する場合には、リンコマイシン系薬クリンダマイシン 600mg/日、マクロライド系薬アジスロマイシン 500mg/日を投与します。

投与方法は、外科処置時に十分な組織内濃度を確保できるように、処置前の30分~1時間に投与する事が効果的です。

ただ、口腔衛生状態をきれいに保つ事が一番の感染予防につながりますので、日々のケアが最も重要ともいえます。

次に、止血管理についてお話をします。
術後出血を起こさないためには、医療従事者側の基本的な手術手技の取得と、術後出血を抑えるための対応、患者様への適切な指導が必要です。
今回は、手術手技に関しては割愛します。

まず、止血方法ですが、
・ガーゼ圧迫; ガーゼを創部に直接あて、圧迫止血をする。約5分間は圧迫した状態でおきます。それでも出血を認める場合には、縫合処置や止血剤の使用、またあとで述べる止血シーネを使用します。

・圧迫帯; ガーゼや弾性テープで創部を圧迫して止血を行います。歯根端切除術などの骨を削除した際に、口唇など上から圧迫することで、死腔がなくなり、腫脹の軽減もはかれます。

・止血シーネ; 術前に型取りをして創部をカバーするような装置(シーネと呼びます)をあらかじめ作ってから処置を行います。持続的に創部を圧迫することが可能なので、特に出血傾向のある患者様には有効です。また、創部に軟膏ガーゼ等をおいておくと、さらに効果が上がります。

次に、観血処置を受けたあとの指導についてご案内します。

・少なくとも、30分はガーゼを強く噛んでもらうようにします。
・術後、24時間は持続した微量の出血は続くことがありますが、それは異常なことではあります。
・唾液に血が混じると、大量に出血しているように感じますが、実際は少量である事が多いです。
・血圧や心拍数が上がると出血しやすくなりますので、激しい運動や飲酒は控えるようにしてもらいます。
・創部をなめたり、すったりすると出血は止まらなくなりますので、あまりいじらないようにしてください。

以上のような説明をしておりますので、ご参考にしていただければと思います。

なにか不明な点がございましたら、気軽にご質問ください。