局所麻酔について

こんにちは。院長の中川です。

先日我が家でも、友人を招いてクリスマスパーティーを行いました。息子には、欲しがっていたシンカリオン(新幹線の変形ロボットです)を、娘には、のりでシルバニアファミリーの歯医者さんセットを贈りました。去年に引き続き、サンタの衣装でプレゼントを配ったのですが、子供たちのリアクションはいまいちで、去年ほどのおどろきもなく、少し寂しい気持ちになりました。

今回は、歯科治療で欠かせない局所麻酔についてお話をさせていただきます。この、局所麻酔がうまく効かないと、治療中の痛みを引き起こし、患者さんの不安や緊張を増加させてしまい、疼痛閾値の低下により円滑な治療を困難とさせてしまいます。この局所麻酔について、いろいろな面からみていきます。

まず、痛みの伝導と、局所麻酔薬の作用機序から説明していきます。

痛みの伝導ですが、神経線維には髄鞘をもたない無髄神経と、髄鞘に覆われた有髄神経が存在します。無髄神経ではすべての神経膜が、有髄神経では髄鞘に一定間隔で存在するランビエ紋輪部分が細胞外液と接しています。神経膜外にはナトリウムイオンが、神経膜内にはカリウムイオンが存在していて、静止状態では膜外が陽性(+)、膜内が陰性(-)に分極しています(静止電位といいます)。神経が刺激されると、神経膜上に存在するナトリウムチャネルが開き、ナトリウムイオンが細胞内に、カリウムイオンが細胞外に移動するので、膜電位が逆転して活動電位を発生させます(過分極といいます)。活動電位の伝達は無髄神経(遅い痛み)では神経膜にそって連続的に起こりますが、有髄神経(速い痛み)では髄鞘のないランビエ紋輪のみ生じるので、紋輪から紋輪へと髄鞘を飛び越えて伝達されます(跳躍伝導といいます)。

次に、局所麻酔薬の化学構造を分類についてお話をします。局所麻酔やくは、脂溶性のベンゼン環部と親水性のアミノ基を有しており、それらを連結する中間鎖の3つの基本構造から構成されています。このかたちを3級アミンといいます。ベンゼン環部は細胞膜の通過に関与し、アミノ基の部分は神経膜上のナトリウムチャネルと結合して、麻酔効果を発揮させます。また、局所麻酔薬は中間鎖の結合様式によって、エステル結合をもつものと、アミド結合をもつものがあり、それぞれをエステル型局所麻酔薬、アミド型局所麻酔薬と呼んでいます。

次回は、局所麻酔薬の作用機序と、種類についてお話をしていきます。