プラークコントロールについて ③

こんにちは。院長の中川です。

少しずつ陽も長くなり、温かい日差しが心地よくなってきましたね。

今回も、プラークコントロールについてお話をしてまいります。

今回は、歯肉縁上プラークと、歯肉縁下プラークの違いについてお話します。

プラークには、歯ぐきより上の歯の部分(歯冠側)にプラークがくっつく歯肉縁上プラークと、歯周ポケットの奥深くにある歯の根っこ(歯根側)にプラークがくっつく歯肉縁下プラークがあります。

どちらも同じものですが、生息している細菌と存在の仕方が違います。

歯肉縁上プラークは細菌のかたまりで、外から見えます。また、歯肉炎を引き起こします。細菌のかたまりの中には、レンサ球菌、放線菌、グラム陽性桿菌が多くみられます。コーンコブ(corncob)と呼ばれるとうもろこしの穂軸に似た構造も認めます。また、染め出し液で赤く染め出されます。

これに対して歯肉縁下プラークは、歯周ポケット内でバイオフィルムを形成しています。このバイオフィルムの中には、歯周病源菌と呼ばれる特別な最近が増殖しており、歯周病源菌のいくつかがあつまって歯周組織を破壊します。構成する細菌として、グラム陰性嫌気性球菌、桿菌、スピロヘータ等が上げられます。歯肉縁下プラークの中に潜んでいる細菌が歯周病の原因となってくるので、徹底的に排除する必要があります。

では、日々のブラッシングで歯肉縁下プラークにアプローチすることは可能なのでしょうか?

結論からいうと、可能です。

歯肉縁上プラークの抑制には、物理的に除去ができるブラッシングが有効ですが、歯の根元の歯周ポケット内に存在する歯肉縁下プラークには、ハブラシの毛先が届きません。しかし、歯肉縁上プラークを増えないようにすれば、歯肉縁下プラークも増えないように出来ているのです。

30年ほど前に、サルを使った実験で、「ブラッシングによって歯肉縁上プラークをコントロールすると、歯肉縁下プラークは増えない」ことが明らかになりました。

まず、サルの歯肉縁上・縁下プラークをすべて除去します。プラークコントロールを一切しないサルと、歯肉縁上プラークを取るためにブラッシングを行うサルとグループわけを行いました。前者は、ほぼ全てにおいて歯肉縁下プラークの形成を認めたのに対し、後者は歯肉縁下プラークの形成が診られませんでした。

このことから、歯肉縁上プラークをしっかりコントロールすれば、歯肉縁下プラークの増殖も抑えることが出来ると証明されたのです。