顎骨壊死を引き起こす可能性のある薬

こんにちは。院長の中川です。

先日、石巻にある石ノ森章太郎萬画館にいってきました。現在、平成ライダー特集が企画されており、自分も幼い頃仮面ライダーが好きでしたので、息子が喜ぶのではと思い、楽しみにしていました。が、自分は昭和の仮面ライダーしか知らず、息子は現在放送中のライダーしか興味がなく、妻と娘は全く興味なしという、さんざんな結果でした。

今回は顎骨壊死を引き起こす可能性のある薬、骨吸収抑制薬についてお話をします。

骨吸収抑制薬とは、簡単に説明すると骨を強くするお薬です。骨粗しょう症の予防をしている方、骨ページェット病の方、骨折をしたことのある方などが服用をしていることが多いです。

わたくしたちの身体では、つねに細胞によって古い骨が吸収されて新しい骨がつくられています。骨吸収抑制薬は、古い骨を吸収する細胞のはたらきを低下させ、骨が吸収されるのを抑制します。

そして、骨吸収抑制薬は骨にはたらきかける薬なので、飲めば当然骨に集まります。さらに、その85%は固い骨(緻密骨)に集まるといわれていまして、顎の骨はほとんどが緻密骨からできているので、顎の骨に高濃度の骨吸収抑制薬が蓄積されることになります。高濃度の骨吸収抑制薬が蓄積されると、新しい骨ができにくくなります。さらに新しい血管ができることも抑制され、骨の血流が悪くなるため、骨にできた傷も治りにくくなります。

歯石をとるなどの普段の歯科治療の刺激では心配いりませんが、抜歯やインプラント埋入などの外科処置で顎の骨に刺激を与えることで、顎の骨が壊死してしまうことがあります。

また、お口のなかには細菌がたくさんいます。抜歯やインプラント埋入などの外科処置でできた傷に細菌が感染すると、傷が治らなくなり、顎骨壊死を発症しやすくなります。

では、実際に抜歯が必要な場合はどうすればよいのでしょうか?

骨は、吸収と付加を繰り返しており(これを骨のリモデリングといいます)、リモデリングの期間は3が月とされています。そのため、治療前に少なくとも3ヶ月前後の休薬が望ましいです。投薬再開までの期間は、術創が再生粘膜上皮で完全に覆われる2~3週間、または十分な骨性治癒が期待できる2~3ヶ月が目安となってきます。

顎骨壊死のリスクファクターとしては、糖尿病、抗がん剤の服用、ステロイド療法中、喫煙、飲酒、高齢、口腔衛生状態の不良などがあります。また、現在骨吸収抑制薬を服用していなくても、過去に服用していた薬の影響も3ヶ月間は残ると考えられていますので、これらのリスクファクターを考慮した休薬が必要になってきます。