喫煙がお口の健康に与える影響 2

こんにちは。院長の中川です。

引き続き、喫煙がお口の健康に与える影響についてお話をすすめてまいります。

喫煙が歯周病の大きなリスクになることは、前回お話しました。もう少しくわしくお話をしていきます。

喫煙の歯周病への影響は、かかりやすい、気がつきにくい、治りにくい、の3つが上げられます。まず、生体の本来の免疫機構が喫煙によって妨げられるため、歯周病にかかりやすくなります。喫煙者は非喫煙者に比べ羅患率が高く、重度に進行した人の割合も高いことが知られています。

また、ニコチン血管収縮作用により炎症症状が隠され、歯周病が進行しても出血などの自覚症状が出にくくなります。そのため、発見が遅れてしまい、気がついたら重度の歯周病になっていたということがあります。歯ぐきに赤みや腫れがそれほど目立たないのに、歯周組織の破壊が進んでいることもあります。さらに、いざ治療をはじめても、喫煙者の歯ぐきは硬くて沈着物の除去が難しく、歯周組織の修復も阻害されているため、思うように治療効果が上がらないのです。

ただ、禁煙をすることで、お口のなかも健康を取り戻します。継続すれば歯周病のリスクも低下します。禁煙すると歯ぐきの出血が一時的に増えます。これは、ニコチンの血管収縮作用がなくなるためです。また、正常な炎症反応が戻ることにより、赤みや腫れなども増すかもしれません。どちらも一時的なものなので、心配しないで下さい。プラークコントロールがきちんと出来ていれば治まってきます。禁煙を続けるにつれ、歯ぐきは健康なピンク色になり、みずみずしさを取り戻します。メラニン色素の着色も薄くなってきます。

禁煙を難しくしているのはニコチン依存です。禁煙を始めるとニコチン離脱症状があらわれ、タバコを吸いたい気持ちが強くなります。離脱症状を抑える方法として、ニコチンパットなどのニコチン補充療法が有効です。意外と厄介なのが心理的依存で、身体的な依存はないけれどつい習慣で吸ってしまうというものです。これには習慣を変えるのがポイントです。食後に吸いたくなるなら、食べ終わったらすぐに歯を磨く、コーヒーを飲むと吸いたくなるなら、しばらくは紅茶に変えてみる、というような工夫をしてみるのも1つです。

お口の中は、喫煙の影響を目で見る事ができる唯一の場所です。それと同じく、禁煙の効果も目でしっかりと確認できます。自分自身の視覚に訴えることができるのが最大の強みなのです。