酸蝕歯について ②

こんにちは、院長の中川です。

今回は、酸蝕歯の症状や原因、その対策についてお話をしてまいります。

まずは症状ですが、酸蝕が起こった前歯の場合では、表面のエナメル質が白く濁ってみえたり、歯の内側の象牙質が透けてみえたり、歯の先端が欠けてザラついたりします。

奥歯では、歯が丸みを帯びたり、歯がどんどん磨り減ったりするため、しみやすく、噛んだ時に痛みを感じる事があります。さらに進行しると、奥歯が欠けてくることもあります。

歯頚部に健全歯質が一層残る臨床所見は、酸蝕歯に特有なものと考えられています。エナメル質段階の酸蝕歯では、冷水痛などの臨床症状もともなわず、無症状のまま進行するため、その発見が遅れる傾向にあります。

症状としては、冷たい水がしみる(知覚過敏)、歯がへこむ、歯のへこみを噛んだときに痛む(咬合痛)、歯が欠けるなどがあります。さらに、もともと存在していた歯のすり減りやむし歯が悪化しやすくなります。

酸蝕歯になりやすい飲食物として、コーラやオレンジジュースなどのソフトドリンク、黒酢やりんご酢などのお酢系飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、柑橘系などの果物、酢の物などがあげられます。

市販飲料の酸性度(pH値)を計測した結果、約73%の飲料が、歯のエナメル質が溶ける数値(エナメル質臨界pH値; pH5.5)を下回る値を示しました。また、食べ物についても同様に計測した結果、身近に存在する多くの食品が酸性でした。

なぜ人気の清涼飲料水の多くはpH値が低いのでしょうか?食品衛生法の基準によれば、清涼飲料の殺菌条件は飲料のpHによって区分され、pHは低いほど加熱条件がゆるくなります。これは、酸性の水溶液そのものに殺菌力があるからです。このため、高温で加熱すると味が変ってします炭酸飲料などはpHが低く酸性度が強くなる傾向にあります。

酸性度の強い飲食物を、高頻度に(ほぼ毎日)摂取する習慣があり、しかも時間をかけちびちび食べたり飲んだりする癖(デスクワーク中の栄養ドリンク、運転中の炭酸飲料、運動中のスポーツドリンクなど)のある人ほど、酸が歯に触れる時間が長く、唾液のよる洗浄効果も期待できないため、歯が溶けやすくなります。他にも、前歯で柑橘類などの果物をかじったり、酢の物をすするようにして食べる方は要注意です。

長時間、歯を酸にさらさないこと、直接、酸を歯に触れさせないようにする、酸に触れた歯が軟らかい間は、余計な力を与えない、などに注意してください。