口腔機能と歯並び・かみ合わせとの関係 3

こんにちは、院長の中川です。

COVIDー19(新型コロナウイルス)の影響が凄いことになっていますね。
学校が休みになったり、終業式や卒業式の中止、イベントの自粛と、少し息の詰まる生活を過ごされていると思います。早く、事態が終息することを願うばかりです。

さて、前回に続き、MFT(口腔筋機能療法)について説明をさせていただきます。

歯は、舌・くちびる(口唇)・頬などの口腔周囲筋からたえず圧力を受けています。「食べる」「飲み込む」「発音する」「呼吸する」など、お口と関連した機能に問題があると、歯にかかる筋圧のバランスが崩れてしまいます。そして、歯は正しい位置を保つことができなくなり、不正咬合や矯正歯科治療の後戻りの原因となります。

口腔周囲筋を訓練することにより、筋圧のバランスを改善して、正しい歯並びを維持するための環境を整えることが、MFTの主な目的です。

MFTは主に矯正治療と関連して実施されていますが、小児期における口腔機能育成、高齢者の口腔機能回復、歯周。補綴治療における力のコントロールなどの分野にも応用されています。
また、MFTで口腔周囲筋の機能を向上させ、口呼吸を抑制し、歯列におよぶ筋圧を整えることを通じ、補綴物の破損防止、舌痛症や知覚過敏の軽減、歯周病の改善などの一助にする試みも行われています。口唇を閉じてよく咀嚼する習慣が身につくと、唾液の分泌が促されるため、口腔内の自浄作用が増して、プラークの付着の減少、う蝕や歯への色素沈着などの防止とともに、口臭の予防にもつながります。

次に、MFTの開始時期および訓練期間ですが、患者さん自身のやる気、年齢、歯並び、咬み合わせの状態によって左右されます。MFTは小学校低学年から成人までの幅広い年齢でできるため、早くから始めなければ手遅れになる、というわけではありません。
また訓練は、2~4週間ごとの通院のたびに、次のレッスンに進める患者さんもいらっしゃいます。その場合には半年~8ヶ月程度で終了できます。しかし、筋肉の機能に極端な問題がある場合には、1年以上、または数年を要することもあります。たとえば、舌のコントロールが非常に悪い患者さんの場合、そのレッスンだけで1年かかることもあります。また、矯正治療が必要な患者さんの場合には、矯正治療に入る前にある程度までレッスンをすすめておいていったんお休みし、矯正治療が終わってから仕上げのレッスンを行うこともあります。

次回は、実際のレッスンについてお話をします。