口腔乾燥症について

こんにちは。歯科医師の中川です。

先日、蔵王町で行われた大根祭りに参加してきました。大根畑で、自分で採った大根を袋に詰め放題!一袋1000円です。我が家は今年で3回目。息子がとても気に入っていて、毎年楽しみにしております。11月のはじめ頃に行われていますので、気になる方はぜひ来年参加してみてください。

唾液は、口腔咽頭の健康を保つために重要な役割を果たしています。口腔が乾くという訴え(口腔乾燥)と唾液分泌量の減少(唾液腺機能低下)は、特に高齢者で一般的な症状です。これらの症状は、飲食物の摂取困難や、多くの口腔疾患、宿主の防御能の低下を引き起こします。口腔乾燥や唾液腺機能低下が持続した場合、重大かつ長期の口腔および咽頭の疾患やQOLの低下を招きます。

口腔乾燥症および唾液腺機能低下の患者数は、研究集団や診断基準が異なることや患者数が限られていることによって、推定することは困難です。全体として、口腔乾燥症患者は加齢とともに増加し、65歳以上では30%といわれています。

口腔乾燥症および唾液腺機能低下の原因は、下記のように複数存在します。

・薬物: 抗コリン薬、三環系抗うつ薬、鎮静剤、トランキライザー、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、細胞障害性の薬物、パーキンソン病治療薬、抗てんかん薬、筋弛緩薬

・口腔疾患/状態: 急性および慢性耳下腺炎唾石症、粘液嚢胞、唾液腺の部分的・完全な閉塞

・全身性疾患/状態: 流行性耳下腺炎、シェーグレン症候群、糖尿病、HIV/AIDS、強皮症、サルコイドーシス、アルツハイマー病、脱水など

ほとんどの高齢者は、少なくとも1種類は口腔乾燥を引き起こす薬物を服用しているため、最も一般的なのもは薬物性口腔乾燥症です。しかし、薬物を服用している高齢者における口腔乾燥症の真の罹患率を推定することは難しいです。シェーグレン症候群(自己免疫疾患の外分泌疾患の一つであり、高齢者の1~4%に発症)患者における口腔乾燥症の罹患率は、ほぼ100%です。頭頚部がんに対する放射線療法は永久的な口腔乾燥を引き起こし、25Gy以上の照射線量では発症率は100%です。しかし、その数は薬物性口腔乾燥症を疑われる患者数よりも比較的少ないです。歩行可能かつ養護施設に入所している成人における口腔乾燥症の罹患率は16~72%と推定されています。口腔乾燥症に関連した症状の罹患率とこれらの症状をもち口腔乾燥を訴える成人の割合を合計すると、65歳以上の成人における口腔乾燥症の罹患率は約30%と推定されます。