口腔乾燥症と唾液腺機能低下の管理

こんにちは。歯科医師の中川です。

もうすぐひな祭りですね。我が家でもお雛様を飾ってみました。3月3日は僕が休みなので、なにか料理を準備したいと思っています。

今回は、口腔乾燥症と唾液腺機能低下の管理についてお話をすすめてまいります。

まず管理の概念についてですが、口腔乾燥の管理における最初の段階は、診断を立てることです。開業医による集学的なチーム作りもその中に含まれます。多くの口腔乾燥症を認める方は、医学的な問題を併発しており、薬物を多剤併用していることも多いため、そのチームのおける情報交換が重要になってきます。第二段階として、口腔内の合併症の発生率が高いため、歯の状態を定期的に検査することも重要となります。口腔の清掃状態と水分(飲み物として水を選ぶこと)を適切に維持することが有用です。喫煙、口呼吸、カフェインを含む飲料摂取などの習慣は口腔乾燥のリスクを増大させることが示されています。これらの習慣を制限あるいは中止することにより口腔乾燥の症状は軽減してきます。唾液分泌を促進するために、砂糖の少ない食事、毎日フッ化物を利用すること(フッ化物配合の歯磨剤、デンタルリンスなど)、抗菌作用を示すデンタルリンス、シュガーフリーガムを使用することで歯のう蝕の予防となります。

う蝕の修復に有用な医療材料が数多く存在しており、グラスアイオノマー系の材料は、う蝕に羅患しやすい唾液腺機能低下患者に対して適しています。グラスアイオノマー系の材料は、持続的にフッ化物を放出するためにう蝕の再発を減少させることができます。また、フッ化物を含むデンタルリンスや歯磨剤をしようすることで、付加物が材料中に再び取り込まれると考えられます。

口腔粘膜表面の乾燥と嚥下障害に対しては、食事中に飲料物を注意深く利用すること、口腔湿潤剤や潤滑剤、人口唾液をしようすることで管理します。夜間に加湿器を使用することは、夜間に起こる口腔乾燥にたいして有効です。

口腔乾燥症と唾液腺機能低下の方は食事の際、特に乾燥して粗い食物のときに飲料物を頻繁に摂取するように指導を受けるべきです。唾液腺機能低下によって2次的に生じる摂食・嚥下困難により繊維の多い食物を摂取しにくくなるため、軟らかく炭水化物の多い食事を主に摂取するようになる人もいます。したがって、バランスの取れた栄養価の十分な食事をとること、および特に間食では砂糖の摂取を制限することが重要であることをについてアドバイスを受ける必要があります。