唾液とプラークpHコントロール ③

こんにちは。宮城野区、パーク歯科クリニック 歯科医師中川です。

息子が小学校からいただいたアサガオの種を、庭に植えてみました。

10粒あったのですが、無事に9本目が出てきました。もう1つも無事に出るとよいですね。

 

⑤ プラークpHの上昇

プラークpHが上昇して安静時の値まで戻る現象は、唾液中のプラークからの酸の拡散を含め、前回まで報告したすべての因子に影響されます。さらに、プラーク中で産生される塩基性物質によっても影響されます。アンモニアはアルカリ性が強いため、酸を中和しpH上昇を引き起こします。アンモニアは、主に唾液に含まれる尿素の分解に由来しますが、アミノ酸の脱アミノ反応によっても生じます。プラーク中に存在するもう1つの塩基性産物として、アミノ酸の脱炭酸反応によって生じるアミンがあげられます。これらの塩基性産物は、プラーク中で酸中和作用を発揮する重要な物質と考えられており、とりわけ、中程度の炭水化物摂取条件下では、重要な中和作用を持ちます。

グルタミン酸は、ステファンカーブを描くプラーク中で最も多いアミノ酸です。グルタミン酸は、有機酸を前駆体として種々のアミノ酸を合成する際、アミノ基を供給する役割を果たすことから、きわめて重要なアミノ酸です。このようにして合成されたアミノ酸は、すべてもとの有機酸よりも酸性度が低いです。delta-amino-n-valeric:DAVA はプラークに含まれることが示されていますが、その濃度はショ糖添加後プラークpHが最低値を示す付近で最も低くなります。DAVAは、スティックランド反応と呼ばれる反応によるプロリンの還元によって生じます。DAVAがpH調節因子として重要なのは、アミノ基を持つためにアルカリ性であることに加え、乳酸分解によって生じた還元型NADをDAVA生成時に利用することができるためです。プラークpHの上昇は、酸の除去によっても促進されます。Veillonella属の細菌は、乳酸を代謝し、より酸性度の弱い物質を産生します。酸はエナメル質へも拡散し、その結果、プラークpHには影響を与えなくなります。

口腔内に残留した食事由来の炭水化物は、細菌性貯蔵炭水化物とともに、プラークpHの上昇時に分化され、その結果、pH上昇を遅らせます。プラークpHは30~60分後には安静時のレベルに戻りますが、プラーク中の有機酸組成が安静時の状態に戻るのは数時間かかります。