唾液とプラークpHコントロール ④

こんにちは。仙台市宮城野区 パーク歯科クリニック 歯科医師の中川です。

去年の暮れに閖上の市場で買った花の苗が順調に成長し、花を咲かせました。種類は忘れてしまったのですが、きれいに咲いており、非常に満足です!

引き続き、唾液とプラークpHのコントロールについてお話をしてまいります。

⑥ 唾液によるプラークpHの維持

かつて研究者たちは、唾液分泌を制限した場合と制限しない場合のショ糖摂取後のステファンカーブを比較しています。大唾液腺の導管にカニューレを挿管し、唾液を口腔外に流して除去したところ、プラークの最低pHはより低くなり、安静時レベルの回復が遅延することが明らかになっています。

唾液のよる口腔内pHの制御は、主に唾液に含まれる重炭酸塩による中和能と緩衝能に起因しますが、リン酸やその他の因子もその程度た小さいものの関与しています。

・ 重炭酸塩

重炭酸塩は、刺激時唾液において最も重要な緩衝システムです。代謝によって生じる重炭酸塩は、唾液活性時の増加の伴って濃度が高まり、その結果、プラーク内の酸に対してより効果的な緩衝システムとなります。特に、重炭酸塩濃度が60mmol/Lに達し、唾液分泌速度が速いときには効果的です。

また、重炭酸塩濃度の上昇は唾液pHの上昇を導き、その結果プラークの酸性度を直接的に中和します。

・ リン酸塩

安静時唾液では、リン酸塩濃度は最大10mmol/Lに達します。しかし、唾液分泌速度が速い場合にはリン酸塩濃度は低下するため、リン酸塩の緩衝システムとしての重要度は低い。唾液中のリン酸塩の作用としては、エナメル質ミネラルに対して唾液が飽和するよう保護してることがあげられます。

・ その他の因子

唾液は血中と同程度の尿素を含みます。プラーク細菌の多くは尿素をアンモニアに変換する酵素ウレアーゼを持ち、そのためプラークpHを上昇させることができます。また、唾液はpH上昇因子としてしられるペプチドを含み、それはプラークpHを維持すると考えられています。最もよく知られているいるのはシアリンと名付けられたアルギニンを含む塩基性ペプチドです。一部の細菌は、この種のペプチドに由来するアミノ酸を脱炭酸し、塩基性アミンを生成します。アンモニアやアミンの生成によるアルカリ産生は、空腹時プラークpHがしばしばそのプラークを浸す唾液pHよりも高い原因となります。

唾液中の尿素濃度を高めプラークpHを上昇させるためい、チューイングガムに尿素が添加されています。尿素はショ糖摂取直後にのみ有効であり、もしショ糖摂取前にガムを噛んでもプラークpH低下を抑制しないことが分かっています。