唾液の防御機能 ②

こんにちは。パーク歯科クリニック 院長の中川です。

遅咲きではありますが、庭のひまわりが満開です。比較的大きくなる種類を選んで植えたのですが、実際に大きく咲いてくれたのはわずかに2輪のみ。種をしっかりと回収し、来年はひまわり畑を目指したいところです。

引きつづき、唾液の防御機構についてお話をしてまいります。

② 唾液接触による細菌の伝播

乳児口腔内に、最初に微生物が定着するのは出産直後で、出征後の最初の数日間はどちらかというと母親の膣の細菌に類似します。しかしながら、外部の感染源へ曝されることが多くなるため、菌種は拡大し、口腔内の微生物総量も増加します。もちろん菌種にもよりますが、乳児の口ね伝播するその最も主要な感染源は母親です。母親(他の家族構成員も含めて)が、乳児の増えつつある口腔細菌に新規の微生物を供給する方法はさまざまです。たとえば、おしゃぶりを乳児に与える前に、母親自身の口でなめて「清掃」をしたり、乳児に与える前に母親が自身の口で食べものを味見してみたり、キスをしたりすることによって伝播するのです。もし、母親自身の口腔状態が良好で、唾液中に多くのう蝕原因菌を保持していなければ、このようなことをしてもまったく問題ないと思われます。唾液を介してのう蝕原因菌が伝播する典型例は、ミュータンスレンサ球菌である。唾液中にミュータンスレンサ球菌を多量に保有する母親は、1~2歳までに唾液接触によって、自分の子どもの歯に感染させることが多く、ミュータンスレンサ球菌の乳児の歯への伝播が早ければ早いほど、また多ければ多いほど、小児期でう蝕発生頻度が高くなるという信頼性の高い科学的な証拠も示されています。この情報は非常に臨床的意義が大きいため、唾液中に多数のミュータンスレンサ球菌を保有する母親(あるいは家族や扶養者)をスクリーニングするチェアサイドの検査方法として用いることができます。ミュータンスレンサ球菌を多量に保有しているケースでは、クロルヘキシジンやキシリトールの適用によって、一時的にでも減少させられることが可能です。それによって母親から乳児への唾液を介するこれらの有害細菌の伝播を予防できるか、少なくとも伝播を遅延させたり細菌数減らすことが可能です。

歯周病原性菌、主に嫌気性菌はすでに学童期以前に、唾液を介してヒトからヒトへ伝播していることをしめす強いエビデンスがあります。唾液から感染するものとしてよく知られているものには、たとえば、単純ヘルペスⅠ型エプスタイン・バー・ウイルスおよびインフルエンザウイルスがあります。