唾液の防御機能 ③

こんにちは。パーク歯科クリニック 院長の中川です。

先日、うみの杜水族館に行ってきました。コロナ禍ということもあり、実に2年ぶりくらいの来園でした。子供たちも大喜びで、結局2週回ることに・・・元気です。水族館のガチャガチャで、ダルマのガチャがありました。数年前に猪苗代にとまったホテルにもあった種類で、なつかしさのあまりつい引いてみました。右が今回引いたクラゲのダルマで、左が以前引いたフグのダルマです。小ぶりでかわいいので、ぜひ引いてみてください!

引き続き、唾液の防御機能についてお話をしていきます。

③ 唾液中の細菌増殖

唾液は細菌の増殖を抑制するだけでなく、ある種類の細菌に対しては、逆に増殖を選択的に促進します。これは経管(胃管)栄養のひとにおいて、口腔内で多量の微生物が増殖していたという研究により明らかにされています。これは主として、唾液由来糖タンパクによるのもで、炭水化物、タンパク質、アミノ酸が細菌の栄養源として供給されています。しかしながら、このようなひとの細菌叢には通常、乳酸菌やミュータンスレンサ球菌、酵母菌は少ないが、発酵性の糖が摂取されると直ちにこれらの菌は増殖します。

唾液の生態系では、微生物は最初に糖タンパク由来の炭水化物を、続いてタンパク質を代謝します。唾液のタイプにより細菌の個々に生育しますが、多くの場合ムチンを多く含む顎下腺と舌下腺の唾液が最も生育に適しています。細菌が唾液中で増殖するためには、外部からの供給なく生存するための栄養を得る必要から、グルコシダーゼとプロテアーゼを産出すなければなりません。ムチンはオリゴ糖の側鎖を多くともなうタンパクコアからなるムコ多糖タンパクです。唾液には2種類のムチンがあり、高分子量ムチンである糖タンパク1(MUC5B)と低分子量ムチンである糖タンパク2(MUC7)です。両者は、顎下腺、舌下腺の異なる細胞群から産出されます。唾液中のレンサ球菌は、ムチン存在下において増殖能力が大きく変化します。

さらに、この違いはグリコシダーゼによってオリゴ糖側鎖を加水分解することに関係しています。これらの酵素は、ミュータンスレンサ球菌にはほとんどありません。ムチンは歯の表面に形成されるバイオフィルムには不可欠であるため、さまざまなレンサ球菌の相対的な割合は、唾液ペリクルのムチン量に反映されます。すなわち、ムチンの豊富な初期のデンタルプラーク中においては、S.oralis、S.mitis、S.sanguinisのような初期コロニーが優勢です。口腔外から発酵性のショ糖が供給されなければ、唾液だけではミュータンスレンサ球菌は低レベル量となり非う蝕誘発性の細菌叢となります。