唾液の防御機能 ⑥

こんにちは。パーク歯科クリニック 院長の中川です。

今月は娘の誕生月です。誕生日プレゼントの希望はディズニーのドレスということで、今年は白雪姫に。ベル、オーロラ姫と、シリーズ化しています。来年もドレスを希望するのでしょうか?楽しみです。

引き続き、唾液の防御機能についてお話をしてまいります。

⑦ リゾチーム

リゾチームは、大唾液腺および小唾液腺、歯肉溝浸出液、唾液中白血球より全唾液中に分泌されます。リゾチームは、新生児の唾液にも成人と同じレベルで存在し、歯の萌出前に抗微生物作用を発揮することができます。リゾチームの働きの標準的な概念は、ムラミダーゼ活性に基づいており、細菌の細胞壁のペプチドグリカン層にある N-アセチルムラミン酸 N-アセチルグルコサミンの間のβ(1-4)結合を加水分解します。グラム陰性菌は、防御的な外層のリポポリサッカライド層のために、リゾチームに対して強い抵抗性を持ちます。ミュータンスレンサ球菌のようなグラム陽性菌は、細菌が産生する菌体外ポリサッカライドによって保護されている可能性があります。リゾチームはムラミダーゼ活性に加え強い陽イオン性タンパクであり、細菌の自己融解(suicide package)を活性化させ、先菌の細胞壁を破壊することができます。しかし、唾液リゾチーム濃度とう蝕発生やう蝕羅患との間に関連性はありません。

⑧ ラクトフェリン

ラクトフェリンは、大唾液腺および小唾液腺から分泌される非酵素糖タンパクです。口腔内の白血球もまた全唾液中にラクトフェリンを放出します。ラクトフェリンの生物学的活性は、鉄イオンとの強い親和性を示し、病原菌からこの必須の金属を奪うことにあります。これによって静菌的効果を導きますが、ラクトフェリン分子が鉄で飽和になればこの効果はなくなります。鉄がない状態のラクトフェリン(アポ・ラクトフェリン)はまた、多くの口腔細菌に対して、殺菌的で不可逆的な作用を持っています。この殺菌効果は、アポ・ラクトフェリンの細菌との直接的な結合を必要とし、過剰な鉄によって抑制されません。部分的な鉄飽和型と鉄遊離型のラクトフェリンがヒト唾液中に同時に存在していることが証明されています。細菌、ラクトフェリン分子内に抗微生物ドメイン(ラクトフェリシン)があることが報告されていますが、それらは宿主や微生物由来のプロテアーゼによって遊離しているかもしてません。

 

次回も引き続き、唾液の防御機能についてお話をしてまいります。