唾液の防御機能 ⑦

こんにちは。パーク歯科クリニック 院長の中川です。

クリスマスのシーズンになりました。我が家でもクリスマスツリーを出すことに。毎年かざりを追加してるためか、少しゴチャゴチャしてきましたが、最初に購入したものなどみながら飾り付けを行うと、ツリーを買った時のことなどを思い出い、懐かしい気持ちでいっぱいです。

引き続き、唾液の防御機能についてお話をしてまいります。

⑨ ペルオキシターゼ

全唾液中には、2種類の異なるペルオキシターゼ酵素があります。唾液ペルオキシターゼ(しばしばシアロペルオキシターゼとも呼ばれています)とミエロペルオキシターゼです。前者は耳下腺と顎下腺から分泌されますが、後者は主に歯肉溝を通じて口腔内に入る白血球由来のタンパクです。全唾液中のペルオキシターゼ活性に占めるミエロペルオキシターゼの割合は30~75%で、歯周組織および粘膜組織の炎症範囲に依存します。

2つの酵素はともに、H₂O₂による唾液チオシアン酸イオンの酸化を触媒し、抗微生物成分である低チオシアン酸イオンを生成します。唾液pH<6.0では、低チオシアン酸が酸化の主要な型であり、イオン型よりもさらに強力な抗微生物作用を持っている。ヒト全唾液やプラークフィールドにおいては一般的な成分であり、歯の萌出期前の小児でも成人と同じ濃度で存在しています。

唾液ペルオキシターゼは2つの大きな機能を有しています。1つはOSCN/HOSCNによる抗微生物活性で、もう1つはH₂O₂の毒性から宿主のタンパクや細胞を防御することです。ペルオキシターゼの機構は、ミュータンスレンサ球菌、乳酸菌、酵母、多くの嫌気性菌(歯周病原菌)、いくつかのウイルス(単純ヘルペスⅠ型、HIVヒト免疫不全ウイルス)のようなさまざまな微生物に対して抗微生物活性を示すのです。もちろんこれらの活性は、OSCN/HOSCNの濃度、pH、作用時間に依存しています。低チオシアン酸濃度が増加すると、ショ糖刺激後のプラークからの酸産生を減少させることが知られていることから、ヒト口腔内においては、代謝拮抗作用のほうが殺菌作用よりもより重要かもしれません。興味深いことに、チオシアン酸イオンがIイオンに置換されると(あるいはIイオンが過剰になると)ペルオキシターゼI-H₂O₂システムが低チオシオン酸よりも口腔内や胃腸の嫌気性菌に対して強い抗菌性となります。H₂O₂は口腔内では好気性菌によって一定に産出され、これらのH₂O₂は、粘膜や歯肉の細胞に毒性を示すことから、唾液はペルオキターゼを供給して過酸化によるH₂O₂を消費します。細菌のカタラーゼも過剰なH₂O₂を破壊することができます。