ミネラル平衡における唾液の役割 ④

こんにちは。パーク歯科クリニック 院長の中川です。

家の近くに白石川が流れていて、冬になると白鳥が飛来してきます。近くまで寄れて、パンなどのえさを与えることができるので、子供たちは大喜び!!コロナ禍で外出も制限されていることなので、ちょうど良いアミューメントスポットです。

引きつづき、ミネラル平衡における唾液の役割についてお話をしてまいります。

5 酸蝕症

プラーク中に産出される酸は、う蝕の原因になります。細菌、食物や飲料に含まれ、歯を直接的に溶解させる効果をもつ別の種類の酸が注目されています。さまざまな研究において青年の約30%に酸蝕症(erosion)の徴候がみられ、非常に若い患者に酸蝕症がしばしばみられると報告されています。酸蝕症では、組織の欠損が表層下脱灰ではなく、エナメル質や象牙質の表層からの消失として起こります。そのようなケースのpHは、プラークのpHよりもはるかに低く、pH2~3の間で、これは清涼飲料では決して珍しくありません。

酸蝕症は、いわゆる外来性の原因によるものとは違い、本人が頻繁な嘔吐や食道性の逆流に悩まされる場合、胃液のよっても起こりえます。酸蝕症は、顕微鏡レベルでう蝕病変と異なるのみならず、口腔での分布が特徴的であり、酸が最初にどこに到達するかといくことや保護因子がどこに存在するかを反映します。通常のかたでは、酸蝕症は上顎臼歯口蓋側が最も好発部位です。これは、漿液性唾液とだ液由来のペリクルが酸蝕症から歯を保護する役割を持つことを示しています。唾液の性状と酸蝕症の感受性の関連を調べた研究では、低い緩衝能がより酸蝕症にかかりやすくすることを示しています。個人のレベルで、唾液分泌速度が酸蝕症に関連することは示されていません。実験的な研究では、唾液、特にムチンとペリクルが、組織の欠損を遅延させることを示しています。酸蝕症は非常に低いpHの溶液で発現するので、フッ化物やカルシウム、リン酸の添加がなぜ有効でないのかを説明するのは容易です。HAPやFAPに対して飽和に近い状態にするには、それらのいずれかの膨大な量を必要とするのでしょう。清涼飲料のpHtとイオン量をともに増加させた最近の研究では、酸蝕症のリスクを下げることが示されています。もっとも、酸蝕症をおこす胃液をそのようにかえることは不可能です。

6 歯石

歯石形成を阻害する成分を含む歯磨剤が利用可能です。結晶性阻害物質(ピロリン酸や酢酸亜鉛)は縁上歯石の量の減少に非常に有効であり、形成された歯石も容易に除去されやすくなります。