口腔乾燥症の病因と診断 ②

こんにちは。パーク歯科クリニック 院長の中川です。

無事に、チューリップが咲きました!!庭の片隅に植えた球根達も随時芽を出しており、これから花を咲かせようと頑張っております!!

 

引きつづき口腔乾燥症および唾液腺機能低下の病因についてお話をすすめてまいります。

■ 唾液腺の病態

唾液腺病態の口腔内の原因は、大きくは感染性、非感染性、腫瘍性の3つにわけることができます。細菌感染は、薬物投与、頭頚部放射線治療、全身性疾患、脱水などによる2次性の唾液腺機能低下を経験した高齢者で最も一般的なものです。急性耳下腺炎は、抗生物質が発見される以前に末期症状で脱水状態の患者によくみられ、敗血症による死亡を引き起こしていました。現在では、急性耳下腺炎はまれにしか観察されません。慢性耳下腺炎は珍しくなく、細菌の定着・感染によって耳下腺管を閉塞させます。唾液腺の細菌感染の徴候と症状として、腫脹、大唾液腺管の化膿、疼痛があります。

ウイルス感染症は、すべての年齢で(特に免疫不全の患者で)耳下腺に優先的に生じます。流行性耳下腺炎はパラミクソウイルスによって発症し、小児では両側性の耳下腺の腫脹を生じます。サイトメガロウイルス感染症は主に成人にみられ、症状は緩やかで、非特異的な所見を示します。

非感染性の唾液腺病態の原因は、唾液腺の外分泌導管の閉塞が最も一般的であり、急性症状と慢性症状に分けられます。急性の唾液腺の腫脹は導管が急に部分的あるいは完全に閉塞する(たとえば唾石症)ことによって生じるが、慢性かつ再発性の唾液腺疾患はそれ以前の感染症あるいは導管の瘢痕化によって生じます。

粘液嚢胞は下唇に生じる最も一般的な反応性病変であり、局所的な外傷によって生じます。小唾液腺導管が切断された場合、ムチンが周囲の結合組織に漏出し、粘膜下組織に表面が無痛性の結節を形成します。舌下腺および頻度は少ないが顎下腺の粘液嚢胞はガマ腫と呼ばれています。ガマ腫は片側性かつ限局性の病変(導管の閉塞と嚢胞の拡大に引き続いて生じる病変)あるいは押し破るタイプの病変(口腔底の組織と顎舌骨筋を貫通して唾液が管外にでる病変)として存在します。どちらのタイプのガマ腫でも、外科的摘出および嚢胞の開窓術が必要です。

ほとんどの結石(唾石)が顎下腺管で形成され、粘液の栓と細胞の残骸が石灰化することで形成されます。まれに耳下腺管内に唾石が生じることがありますが、顎下腺と小唾液腺では珍しいとされています。