歯周病と全身疾患の関係について 2

こんにちは。院長の中川です。

最近急に冷え込みが厳しくなり、我が家でもタオルケットから毛布に交代しました。パジャマも急遽長そでを引っ張り出す始末です。きゅうに夏が終わってしまい、寂しい思いです。

さて、前回続いて全身疾患と歯周病のかかわりについてお話をしてまいります。

まずは動脈硬化との関係性です。

動脈硬化とは、動脈の内側で血液中の脂肪や白血球などが粥状にくっついて溜まり、血管が硬く狭くなることです。溜まったものが壊れると血栓をつくり、完全に血管をふさいでしまう事があります。冠動脈で起これば心臓発作、脳で起これば脳卒中で、がんに次ぐ日本人の死因第2位です。

さて、血液中の炎症性物質の数値が高いと動脈硬化が起こりやすくなります。歯周病の患者さんは全身が軽い炎症状態にありますので、炎症性物質の数値が少し高くなり、動脈硬化が起こりやすくなると考えられています。

まれに、動脈硬化を起こした血管から歯周病菌がみつかることがありますが、歯周病菌が動脈硬化の原因になるのかどうかまではわかっていません。しかし、動物をつかった最新の研究では、歯周病菌を飲み込むと腸内細菌の構成が変って腸の壁が弱くなるため、全身の臓器に細菌の影響がおよぶということがわかりました。このようなことから、歯周病が原因で動脈硬化が起こりやすくなるのかもしれませんが、歯周病を治療したら動脈硬化が減るのかどうかは研究不足でまだはっきりしていないのが現状です。

次に、骨粗しょう症との関係性についてお話をします。

骨粗しょう症のひとは、からだの骨密度が低いことから、同年代のひとや、同じ歯周病の要因にを持つひとに比べて、歯周病になりやすい傾向にあります。

歯周病にかかると、歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こして、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かしてしまいます。これを、「歯槽骨の吸収」といいます。

からだの骨と歯槽骨の関係を調べた研究の大部分では、からだの骨密度と歯槽骨の吸収の程度には関係があるという結果でした。たとえば、骨粗しょう症の人たちと正常な骨密度の人たちを3年間観察したところ、骨粗しょう症の人たちのほうが歯槽骨の吸収が多かったとの報告があります。

お口の中に歯周病菌がいるかどうかは、歯周病がすすむかどうかの強力な要因ですが、その要因や年齢が同じくらいの人どうしで比べると、からだの骨密度が低い人のほうが、歯槽骨の吸収がすすみやすいといえそうです。