歯周病と全身疾患の関係について 3

こんにちは。院長の中川です。

すっかり秋らしい日々になりました。僕の住んでいる近くに、船岡城址公園があます。ここでは毎年、しばた曼珠沙華まつりを行っていて、真っ赤なじゅうたんのように咲き誇る曼珠沙華をみる事が出来ます。道端でも曼珠沙華を見かけますが、一面に赤い世界が飛び込んできて、その光景は圧巻です!ただ、9月29日でおまつりは終わってしまいますが、まだ咲いておりますので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

今回も引き続き、歯周病と全身疾患の関係について分かっていることをお話します。

今回は、関節リウマチとの関係についてお話します。

関節リウマチとは、からだの免疫の仕組みに異常が起きて、「自己抗体」という自分自身のからだを攻撃するものができてしまい、そのため関節に腫れや痛みをともなう炎症が起こる病気です。進行すると関節が変形してしまいます。女性や高齢者に多い病気です。

これまでのたくさんの研究結果から、関節リウマチにかかっている人は、歯周病になりやすいといわれています。その理由は、両方とも炎症性の病気であり、共通のリスク因子(炎症を起こしやすい体質や、喫煙など)があるためです。その他にも、関節リウマチになると手指が動かしにくく、ブラッシングがしにくいことなどが 考えられます。

また、歯周病が関節リウマチをより進行させる可能性もあります。歯周病菌がもっている酵素が、関節リウマチを起こす自己抗体を増やすかもしれないからです。関節リウマチ患者さんの血清中には、抗シトルリン化タンパク抗体(抗CCP抗体)という自己抗体が検出されます。シトルリン化は、正常なからだの中でも起こっている反応なのですが、最近、歯周病菌であるPorphyromonas gingvalis(P.g.菌)がタンパク質をシトルリン化させる「PAD」という酵素を持っていることが発見されました。そのため、歯周病患者さんの体内では過剰にシトルリン化タンパク質が増え、抗CCP抗体ができやすくなり、関節リウマチを亢進させるのではないかと考えられています。

また、関節リウマチと歯周病の両方にかかっている患者さんに歯周治療を行った研究では、歯周病を治療したら関節の腫れや痛みが軽減し、関節リウマチの検査値も下がったと報告されています。他にも、関節リウマチ患者さんへの歯周治療によって、P.gingivalis血清抗体価と血清シトルシン濃度が低下し、その結果。関節リウマチの活動度が低下するという報告もあります。