こんにちは。パーク歯科クリニック院長の中川です。
佐渡からの新潟帰り、会津若松にて鶴ヶ城によってきました。仙台から近いようで、なかなか距離があることからいけていなかったので、なかなかの大きさにびっくりしました!!
引き続き、唾液の防御機能についてお話をしてまいります。
④ 口腔バイオフィルムの唾液成分
口腔内では、唾液中の糖タンパクは粘膜皮膜として、あるいは歯面上に、ペリクル(無細胞タンパク質層)として認められます。唾液中に検出されるほとんどの唾液糖タンパクは、ペリクル内にも認められます。これらは、ムチン、アミラーゼ、リゾチーム、ペルオキシターゼ、唾液免疫グロブリン、細菌由来のグルコシルトランスフェラーゼ、プロリンリッチタンパク(PRPs)です。ペリクルは、部位および個体間で異なっていますが、それらは各個人の口腔の生態系、たとえば、特にPRPsやアミラーゼでよくみられる遺伝子多型による個体差によるものです。ペリクルは、細菌が付着するための層としての役割の果たしており、ペリクルの唾液成分の性質は、細菌層、すなわちデンタルプラークの構成を変化させます。デンタルプラークは、細菌バイオフィルムであり、いつも動的状態にあり、細菌の付着、増殖、遊離、再付着が同時に起こっている可能性があります。高濃度の唾液糖タンパクや清掃された歯表面への急激な形成により、ペリクルは再生性潤滑材としての働きもあると考えられ、咬耗や摩耗から歯を防御するのに役立っています。
⑤ 唾液タンパクの生物学的特性
唾液タンパク濃度は約2mg/mLにすぎないが、多くのタンパク質が抗菌性、潤滑性、消化の重要な機能を果たしています。さらに、歯や軟組織への細菌の集積を調節したり、発癌物質のような外因性毒素が口腔粘膜から侵入するのを防いだり、唾液中のリン酸カルシウムの作用を制御したります。後者の機能は、唾液の過飽和の維持、すなわち、歯表面の健全性を維持するため、さらにまた、唾液腺や口腔内で外因による石灰化が起こらないようにする機能を果たしています。
以前述べたように、唾液タンパクはまたペリクルの形成にも関与しており、歯面への初期の微生物のコロニー形成に影響を及ぼします。唾液中の塩基性アミノ酸やペプチドからの塩基産生物は、プラーク中の酸を中和する働きをします。要するに唾液タンパクは、広く多様な機能を発揮し、口腔の健康維持し、また口腔および口腔以外の微生物感染を防ぐ手助けをしているのです。